気付くと、どこかのロータリーに居た。
人は…他に、少年一人だ。公衆で電話している。
思わず自分を見た。
アルビノの白い肌、スカイブルーの肌着、カッターシャツにインディゴのジーンズ。

そこへ白の帽子とグラサンに肩から大型ショルダー。
夢かと頬をつねったが神経は痛みを伝達してきた。

…待ってくれよ。性質の悪い冗談か?

後ろには駅。強羅駅―――リニアモーターラインの。
少年が戻ってくる。
「あれ、避難しないんですか?」
「事情があってね…」

…冗談抜きでか?

青のアルピーヌ・ルノーA310が突っ込んで来た。半スピンして停止。
セクシーな女性が、少年にこう宣った。

「碇、シンジ君ね?ごっめ〜ん、おまたせ!そこの君も時間がないの、乗って!!」


…勘弁してくれ。

 

X-Evangelion
=闇に消えるセカイ=


第壱話 使徒、襲来
- Person who know the gospel -


「私はミサト。葛城ミサトよ」
あきらかにアルビノになってる上にこの服装。
更に青ルノーと葛城ミサト、そしてサード・チルドレンこと碇シンジ。
現実逃避するには材料が揃い過ぎていた。
…どう考えてもEVA。それも我等がX-Evaである。
取り敢えずルノーに乗る。
何故かあった後部座席に収まると、葛城サンが開口一番。
「ちょーっち飛ばすから、しっかり掴まっててねっ!」
「うわあああああっ!?」
『ちょっち』所じゃない。
助手席のシンジ君なんか失神寸前だ。
図らずもX-Evaと同じ展開になった。
「あの…葛城、さん?」
「あらん?ミサトで良いわよん。ええと…?」
さてどう出るか。
1、本名言ってみる。
2、X-Eva主人公の名前を使う。
3、記憶喪失とかそんなんで流す。
…2だな。
「コウです。渚コウ」
「分かったわん、コウ君。…そういえば。何故避難しなかったの?」
さて、どうする?俺。
X-Evaで行くか。
「…シェルター知らないんですよ。第一、俺ここの人間じゃないし」
「え?場所なんて聞けば分かるじゃない。それにシェルターは全国データベースだからどこの人間でも入れるし」
「や、そーじゃなくてですね…」
世界が違う、そう言おうとしたその時。
「あ、ああああれ!」
「どったの、シンジ君?」
うーん、巡航ミサイルだな、ありゃ。こっちに向かってる。
「きゃあああああっ!?」
「うごうっ!?」
超高速ドリフト。強烈Gの襲撃だ。
しかし間に合わない。
戦慄する。

直撃コースだ。

「来るなあぁぁぁっ!」

瞬間。

心に衝撃。

目の前に、赤い八角形。

A.T.フィールド。

「っあ…」

半徹夜でぐったりしていた上に無意識のフィールド展開。脆かったそれにミサイル直撃となったおかげか、意識は闇に堕ちた。
「コウ君!」
「―――!?」

:::::::::::::::

「う…く…」
起き上がる。
ここは…?
「夢オチ…?」
X-Evaと同じ―――?
いや、流石にそれはないだろう。
時刻は―――午前9時。
親はいない。海外出張中だ。
遅めの朝食。得意のオムレツにパン、作り置きキャロット・ポタージュ。野菜に特製ドレッシングで完璧。
趣味の一つは職になり、また一つは糧になった。イイ感じだ。

電話が鳴った。

「はい、深海です」
余談だが、俺は深海 薫(ふかみ・かおる)と言う。
『深海君?編集、大和だ』
「大和さん!おはようございます」
編集の大和 武人(やまと・たけひと)さん。
豪快で、締切さえ守っていて面白ければ優しい、そんな人だ。
『おはよう。あの原稿、早速読ませて貰ったよ』
「どうです?」
『いやはや恐れ入ったよ。この短期間でここまで仕上げるとは』
「ありがとうございます」
『だがまだ未完成だろう?』
「流石…そうです。まだラストが固まらなくて…」
そう、まだ。
ラストがまだなのだ。
『なんとかなるさ。後3週間もあるんだから』
「ですよね」
ああ、そうだといいが…
売れっ子はつらい。

さて、ポタージュが温くならないうちに食事だ食事。

:::::::::::::::

「だあっ、もう!」
筆が乗らない。
仕方ない、どっか行ってこよう。
ワイヤレスLANカードにPDA、イヤホンデジカメ定期に財布。
おっと、水筒も要るな。この季節は熱中症になりやすい。
それに鍵と携帯…よし。
んじゃ、行きますか。

:::::::::::::::

チャリを転がして、駅へ。突然、妙な感覚がした。
呼ばれている。

感覚は、駅からしていた。

チャリをいつもの駐輪場に定期で止め、感覚を追った。

感覚は、ホームからしていた。

全線定期で入る。
電車が滑り込んできた。

感覚は、電車内からしていた。

乗り込む。
動き出す。

感覚を、電車ごと追った。感覚は、続いている。

止まる。
進む。
止まる。
進む。
止まる。
進む。
繰り返し、感覚が電車を降りた。
ホームへ降り立った。

感覚は、改札を抜ける。

追った。

感覚は、人気のまるでない公園へ入った。

追った。

感覚は、一人の、アルビノの少年を指し示していた。

それは、17番目の使いだった。
「渚、カヲル…!?」
少年は言う。
「お帰り、薫」
腕が回される。
額にキスを受けた瞬間、再びセカイが暗転した。
「戻ろう?君には世界が必要だ…」

:::::::::::::::

「―――君!コウ君!!」
「コウ君!」
―――っ。
ここは―――?
まさか。
「あ、気が付いたのね。よかったぁ」
「急に倒れて…大丈夫?」
「ああ―――ここは?」
いや、一応見当はつくが…。
「カートレインの中よん。あ、そういえばコウ君、家どこ?民間人は立入禁止になってるのよ」
やっぱりか。
しかしどう応える?
X-Evaではこのまま―――

このまま―――…

このまま…?

「コウ君?」
記憶が―――消えていく―――置き換えられていく―――いや、追加されていく―――!?
「っく、ぐああ、あああああっ―――!」
「コウ君!?」
記憶が止まらない―――頭が割れそうだ―――神経が暴走してる―――身体が―――心が―――光に押しつぶされていく―――塗りつぶされていく―――!
激痛?快楽?相反する感覚に心も身体も軋む。
安息?苦痛?相反する感覚に何かが共鳴する。
全てが砕け、全てが集まる。
振動が止まった?カートレインが止まった?まだ動いている?まだ振動している?
なんなんだ、これは―――!
記憶の流入が緩やかに―――いや、酷く―――いやまた緩やかに―――?
「うああ―――ぐっ、がぁっ…」
誰かの、言葉にならない叫び―――誰の?
俺の―――いや、僕の?
僕は―――誰?
僕は誰?僕は誰?僕は誰?

 ボ ク ハ 、 ダ レ ?

「コウ君!しっかりして!!」
誰かの声―――。
貴方は―――誰?
此処は―――…

「は、くぁ…っ」
心が戻る。
汗が引きだした。
痛みが灼熱に変わる。
それは仕上げとばかりに、掌の一点を灼いた。
「うあああああっ!」
「コウ君!」
「うあっ…く…シンジ、僕の、バッグから水筒をっ…くああっ!?」
再び、強烈な熱。
「はっ―――く、あっ」
「水筒…これだ!」
シンジが水筒を取り出す。
「中身を…」
掌に。
「こう?」
そうそう。そうだばだばっと。
「ぐうぅ…っ」
「何!?どういう事!?」
どういうも何もない。
ただ掌の焼けた所にかけた水筒の氷入り麦茶が瞬間的に蒸発しているだけだ!
「はぁ、はあぁ…」
「だ、大丈夫…?」
「…何とか。ありがと、シンジにミサトさん」
「…何だったの、今の」
指揮官どの、僕に聞かんでください。
「…赤木さん」
「へ?なんでリツコの事知ってるの?」
「赤木さんとMAGIなら分かるかも…」
「な、何をよ?」
「…僕がこの世界に来た訳」

:::::::::::::::

結局一緒に入りました。
『ようこそネルフへ!』も読みました。
…しっかりばっちり迷ってます。
「ミサトさん…ここエレベータ前…5回目」
「もしかして…迷いました?」
「う、うっさいわね!ただ私に黙って着いてくれば―――」

「いい筈無いわね、ミサト」

「ちょっとリツコ!それってどういう意味なのよぉ!!」
「そのままの意味よ」
さらっと。あくまでもさらっと。
親友(悪友?)だけに扱い馴れてる。
「黒髪の貴方…貴方が碇シンジ君ね?そっちの貴方はどちら様?ここは関係者以外立入禁止よ?」
「渚、コウです…赤木リツコ博士」
わざと淋しげな微笑みを返す。
わはは、これで大抵上手く行くのだ。
あ、ミサトさんが唾飲んだ。
「…何故知っているの?」
ち、やっぱ効かないか。
「…頭痛と、苦しみと一緒に入って来た…記憶が知ってました」
「―――!?」
おろ?
「最後は痛みが熱に変わって…手に、聖痕みたいなのが…」
「嘘…裏死海文書は完全だったの?」
X-Evaと同じ―――じゃ、無い。ちょっと違う。
「ということは…もしかして貴方、異世界から?」
「…はい」
ふむ。どうなるのだ?
おろ?リツコ博士が肉球マークのPDA出した。
「…送信。貴方、家とかは用意するから協力してくれないかしら?」
「…条件、飲んでもらえるなら」
「それは司令に聞いた方が良いわね…」
だよな。
「…じゃあ、協力の内容は?」
「ケイジへ行きましょ。そこで司令から聞くと良いわ」

完全忘却されるミサトであった。
「うう、酷い…」

:::::::::::::::

「足元気をつけて。―――今、明かりを」
ブレーカーに手を掛ける赤木サン。
一拍後、明かりが灯る。
「なんだよ、これ…一体…」
呟くシンジ。
「15年もの歳月を掛け極秘裏に開発・建造された汎用人型決戦兵器、人造人間エヴァンゲリオン。これはその初号機よ。これこそ我々ネルフの…そして人類の、最後の切り札」
最強、最凶にして最狂のジョーカー…絶対に、福音伝達者なんかじゃない。
「これが…これが、父さんの仕事ですか…?」

「…そうだ」

声が降ってくる。上だ。
威圧的な髭が居た。
「久しぶり…だな、シンジ。10年振りか。」
「父さん…」
「…赤木博士、シンジの隣に居るのが例の…?」
「はい。裏文書の"異世界からの適格者"かと。名前は…」
「渚コウです。以後お見知り置きを…碇ゲンドウ司令」
おお、髭が驚いた。面白い。
あ。復活した。
「も、問題ない…シンジ、私の言うことを良く聞け。この初号機にはお前が乗るのだ。そして―――」
聞くのめんどい。
「…リツコさん、僕のは?」
「…文脈から推測したのかしら?まあいいわ…貴方、協力してくれるのね?」
「時間、無いんでしょ?交渉は後で…今は協力する。流石に死にたくない」
「…分かったわ」

その時だ。ストレッチャーが入って来た。

「…赤木博士。初号機、システムをレイのものへ」
「了解。初号機システムをレイに書き換え再起動!急いで!!」
指示を出す赤木博士。彼女の能面には、複雑な表情があった。
「…レイ」
「…はい」
「予備が使えなくなった。お前が乗れ」
「…はい」
シンジが再び呟く。
「この子が…レイ?」
見るからに絶対安静のアルビノ美少女。
「…おかしい。おかしいよ。なんでこんな子がパイロットなんだよ。なんでこんな怪我なのに…!」

振動。

「奴め…ここに気付いたか!」

爆発。
「天井都市が…崩れ始めた!?」
鉄骨が落ちる。
初号機が弾く。
走る。
レイは、血塗れになっていた。
「…う…っく…」
「レイ、しっかり…!大丈夫…じゃない。傷が…!」
ストレッチャーに戻し、医師に引き渡す。
「リツコさん!早く僕のを!!」
「分かったわ…」
「…僕にも…僕にも説明を…!僕が乗ります!!」
シンジが宣言する。
「よく言ったわ、シンジ君。二人ともこっちへ。システムを簡単に説明するわ」

:::::::::::::::

シンジがエントリープラグへ入る。
「…リツコさん、僕のは?」
「貴方のエヴァはこっちよ。今起動準備中」
シンジの発進には間に合わないと言う事か。
"僕の"と言われたエヴァに向き直る。
「…これは?」
「エヴァンゲリオン初号機零式。初号機の双子に近くて言わば兄に当たるけど、今までパイロットを受け入れた試しが無いわ」
「…零式?零号機とは違う?」
「あっちは実験機。こっちは試作機」
随分適当な。
なんでも、初号機は正式名称を初号機壱式と言い、この零式がパイロットを受け入れないんで作ったとか。
で、零式は受け入れてくれそうなパイロットが見つかるまで放っとく事にしたんだとか。
で、
「貴方なら大丈夫だと思って」
はぁ。
「…エントリープラグは?」
「こっちよ」

「Evangelion初号機、発進!」

…急がないと。

:::::::::::::::

エントリープラグ。
エヴァンゲリオンのコクピットにして脱出装置のこいつの内部は、何と言うか…芸術的だった。
「Simple is best…この事?」
必要らしいコンソールやレバーはシートと共にプラグ前方へ集約され、後方ははっきり言って何のためか分からない空きスペース。
じつに素晴らしい。なんと芸術的。
『コウ君、初号機が頑張ってるけどあまり持ちそうに無いわ。取り敢えずシートに座って心を落ち着けて』
「はい」
『冷却終了!ケイジ内、全てドッキング位置!』
『パイロット、エントリープラグ内コクピット位置到着を再確認!』
『了解。エントリープラグ、挿入を開始します』
プラグか衝撃と共に挿入されていく。
大丈夫。サキエルなんて雑魚じゃないか。初号機も居る、簡単さ。
『―――プラグ固定終了。第一次接続開始!―――エントリープラグ、注水します』


赤い水が足元からせりあがる。
流石に怖い。だって液体だぜ?
『心配しないで。LCL―――その液体の事だけど―――それが肺に満たされれば直接酸素を取り込んでくれるわ』
「わかりました」
…よくよく考えると無茶苦茶だよな。
新しい記憶が知っていたLCL取り込み法が無ければできなかっただろう。
「…血の味」
『我慢して頂戴。じき馴れるわ』
「…はい」
新たなる記憶よ、我に力を。
『初期コンタクト開始。シンクロスタート!』
躰が、溶けて行く気がした。
『A10神経接続、異常なし』
『初期コンタクト、全て問題なし』
『シンクロ率90.3―――急激に上昇!150…240…上昇止まりません!!』

『回路切―――』
意識が潜っていく。
零式の中へ。

:::::::::::::::

暗い空間。
その奥に、彼女は居た。
『君は…?』
『私は…貴方達が零式と呼ぶ存在の魂』
零式の魂…
『名前は?』
『名前なんて、無い…貴方、初めてここに来てくれた人…貴方は?』
『コウ。渚コウ』
可哀想に…名前も無いなんて。
『名前…貴方が、つけて』
『…んー…』
考える。
福音伝達者の魂だしやっぱ神様系?
む…難しいな。
『ノルン…北欧神話に於ける運命の女神…どう?』
あ…泣いちゃった。
『嬉しい…名前…付けてくれた…そう、私はノルン…ありがとう、コウ』
『…どーいたしまして』
…おろ?辺りが明るく…
『コウ…貴方と仲良くなりたい』
『うん…でも今は無理』
『…どうして?』
暗くなった…ノルンの感情とリンクしてる?
そうか。そうだよな。なんたって零式の魂なんだから。
『使徒が来てる』
『使徒…敵?』
『うん。倒さないといけない。彼らを助ける為にも』
『…分かった』
ノルンが明後日の方向を指差す。
光の塊があった。
『あそこから、戻れる』
『ありがとう』
駆け出す。
『シンクロテストとかあるだろうから、その時話そう!』
『ええ…』
光の塊に突っ込む。
『私はノルン…コウ、貴方に協力します』

:::::::::::::::

『―――クロ率急激に低下!380、250、120…安定。99.89%!!』
『パイロット肉体再構成!バイタル安定!!』
『ハーモニクス…信じられない!ハーモニクス、±0!』
『嘘…』
「こちら、コウ…行けます」
『コウ君…大丈夫なのね?』
「すいません。零式の魂と話してました」
『そう…ミサト、行けるわよ』
『OK。エヴァンゲリオン零式、発進準備!』
ケイジに声が響いた。
『第一ロックボルト、解除』
『…解除確認。アンビリカルブリッジ移動!』
ブリッジが動き出す。
『了解。アンビリカルブリッジの安全を確認…定位置に到着』
『第一・第二拘束具除去開始!』
『1から15までの安全装置解除…確認!』
『内部電源、充電完了。外部コンセントに異常は確認されません』
発進準備は進んで行く。
『―――了解。射出口はDブロック・ルート130を選択します』
『了解!エヴァ零式、射出口へ!』
零式が移動させられる。
『Dブロック、ルート130…ゲート14、スタンバイ』
『進路クリア!オール・グリーン!!』
緊張が高まる。
それはまるで―――嵐の前の、静けさ。
声が響く。
『Evangelion零式、発進!』
強烈なGがかかり、零式が―――ノルンが―――そして自分が、打ち出されて行った。

:::::::::::::::

『最終安全装置解除、エヴァ零式リフト・オフ!』
幾分かの衝撃と共に、両肩の拘束具―――最終安全装置が、外れる。
「…武器は」
『左肩にプログレッシブ・ナイフ、右肩にニードル射出装置。使徒にはA.T.フィールドも観測されているわ、気をつけて!』
「了解…ノルン、行こう」
<ええ…>
ノルンの返答を聞く瞬間、使徒へ―――サキエルへダッシュした。
初号機がケーブルを撃たれる。
シンジの驚きが、目に見えた気がした。
『嘘っ!?』
「シンジ、下がって…」
走りながらニードル射出。気を逸らせられれば良い。
『零式、ニードル射出!』
『その調子よコウ君!シンジ君、ケーブルをパージして―――』
ナイフを抜く。
「…抜刀完了」
斬りつける―――が、弾かれる。
「やっぱり…フィールド、邪魔」
『A.T.フィールドは別のフィールドを当てることで中和できるわ!』
「A.T.フィールド…Absolute Terror Field…絶対嫌悪領域…大体わかった」
そう。あの時無意識に発動した赤い壁…
アレだ。
「ノルン、フォローよろしく」
<わかったわ…>
ビームが来る。
潜って回避、フィールド中和からニードル。仮面モドキに命中させる。
切り上げ切り下げ踏み込んで突き。
パイルのスピードも半端じゃない。だがノルンのフォローがあれば…
「!!」
人だ!それも二人!?
『ミサトさん、人が!』
シンジが叫ぶ。
『保安部に保護させるわ…45、いえ30秒持たせて!』
「…了解」
記憶が確かなら、あれは鈴原トウジの妹、ナツミ。
面倒を避ける為にも、助けておきたい。
だが、何故二人…?
あ。
「トウジも居る…」
だったら尚更。
A.T.フィールドを更に強化する。
『零式、A.T.フィールド増大!使徒に接触!!』
「シンジ、取り押さえて…うりゃ」
フィールドで吹き飛ばす。
『うわあああああっ!』
あ、聞こえてないや。
それでもプログナイフは刺さる。そりゃもうぶっさりと。

しかも運良くコアに。

コアが光を失う。砕ける。

第三使徒サキエル、殲滅の瞬間であった。

『パターン青、消滅!使徒、殲滅を確認しました!!』

:::::::::::::::

第一次作戦報告書

セカンド・インパクト以来15年振りとなった今回の使徒は、直立二足歩行を行う人型の物であった。
水中移動を可能としており、実際に人の下腹部に当たる部分にはエラらしき物を確認するも呼吸方法は確認出来ず。
能力は両腕の特殊器官によると思わしき光線(剣状の使用も確認、詳細は調査中)の放射、対国連軍戦闘時に会得したと思わしきレーザービームらしき兵器を有し、戦闘能力は相当な物と思われる。
防御機構A.T.フィールドによる防御力は通常火器の無効化などから見て非常に高く、また初号機との戦闘時に於ける戦法立案、格闘戦時の成長、レーザービームの会得などから見て学習能力など知的能力も高い物と判断出来る。自己修復能力も非常に高く、脅威的存在となった。

上記使徒は旧東京水没部に出没、上陸後第三新東京市を目指し移動を開始。日本政府は進路に当たる東海地方を中心とした関東中部全域に特別非常事態宣言を発令、並びに日本国自衛隊の湾岸戦車隊及び在日国連軍に緊急出動を要請。しかし両者とも有効打の無いまま敗退。
N2地雷による足止め以上の戦果を挙げられず、国連軍は作戦続行を断念。指揮権を特務機関NERVへ移行させた。
NERVは直ちにEvangelionによる作戦を提案。
ファースト・チルドレンの負傷のため、急遽到着したサード・チルドレン搭乗によるEvangelion初号機壱式、またサード・チルドレンに偶然同行していたゼロ・チルドレン(別紙"ゼロ・チルドレン(異世界より来たる適格者)"参照)搭乗によるEvangelion初号機零式にて第三新東京市上による迎撃戦闘を展開。
サード・チルドレンは初搭乗にもかかわらずシンクロ率41.3%を記録。またゼロ・チルドレンはアクシデントの後("ゼロ・チルドレン(異世界より来たる適格者)"参照)シンクロ率99.89%を記録。作戦による支障は認められず、作戦司令部はそのまま戦闘を展開。
初号機零式は発進準備が遅れ、まず初号機壱式が発進、戦闘を展開。序盤は武装"プログレッシブ・ナイフ"により有効打を与えたものの、使徒は作戦中盤に入りA.T.フィールドを展開。同機による攻撃を全て無効化した。
この際、使徒の攻撃によりアンビリカルケーブルが断線した事を追記する。
が、この時点で初号機零式が発進。初号機壱式を援護した。
その後初号機零式はA.T.フィールドを展開、何故かその場に居た民間人2名から使徒をA.T.フィールドにより引き離し、最終的には初号機壱式のプログレッシブ・ナイフによってコアを破壊、殲滅した。

結果として、第三新東京市の被害はあったものの、使徒の殲滅に成功。
当初の目的は達成した為に作戦は成功と判断されるものである。
課題としてはA.T.フィールドの突破方法及び展開方法の明確な確立が必要と判断される。

以上をもって、第一次作戦報告を終了する。