第一次作戦報告書

今回襲来した使徒は、青く、半透明な正八面体状の形をとっていた。
赤道部に円環式加速機とおぼしきスリットを有し、おもな攻撃は加速・収束させた荷電粒子とおぼしき指向性エネルギー兵器、いわゆる「加粒子砲」による。
また、下部の頂点より直径17.5mのドリルシールドを繰り出し削孔を行う事も確認された。
A.T.フィールドは位相空間を肉眼で確認出来る程強力であり、葛城一尉はその姿をいみじくも「移動要塞」と称した。

上記使徒は零号機の起動再実験中に海上より侵入。
これまでの対使徒戦闘で辛酸を舐めた国連軍は指揮権を早々に放棄、ネルフへと移行した。

ネルフは使徒に対し、戦術情報等の収集を行うため威力偵察行動を開始。
Evangelion初号機零式(以降零式と表記)は同機搭乗者の意識が回復しておらず、またEvangelion零号機(以降零号機と表記)は起動再実験直後の為碇ゲンドウ司令の命により待機。
故にネルフはEvangelion初号機壱式(以降初号機と表記)を単機発進させる。
が、使徒は初号機の発進を察知したか、初号機に対し加粒子砲を発射した。
使徒の攻撃は真正面より初号機胸部に着弾。
初号機搭乗者によるA.T.フィールドの展開は突然だった為か確認されず、直撃であったと推測される。
この攻撃により初号機は大破。初号機パイロットは意識不明となり緊急入院した。

直後の作戦会議で葛城一尉が作戦(詳細は別紙、『ヤシマ作戦』最終概要を参照の事)を立案。
目標のA.T.フィールドを一切中和せず、超長距離より大出力の指向性エネルギー兵器にて使徒中心部にあると思しきコアを狙撃するという作戦であったが、MAGIのシュミレートによれば勝率7.8%。賛成2、条件付き賛成1であった。
他にも作戦は複数立案されたものの、これが実現可能な作戦の内もっとも勝率が高かった為に採用。
差し当たり戦略自衛隊保有の試作自走陽電子砲を徴発・改造(徴発令状は別途添付)、Evangelion専用狙撃陽電子砲「ポジトロン・スナイパー・ライフル」とし(仕様は別途添付)、作戦に使用した。
また、使徒の展開するA.T.フィールドを突破するため送電・変電時の減衰や装置の耐久性を加味した140'000'000kwの電力を日本全国より徴発、作戦に当たった。

作戦は午前0時に開始。
ポジトロン・スナイパー・ライフルは正常に稼働。作戦は実行された。
が、第1射は使徒の応射により二重螺旋を描いて命中せず、また変圧器群が高い電圧に耐えられず使用不能となり、ポジトロン・スナイパー・ライフルの高出力発射は不可能となったため、作戦は失敗したと判断される。
しかし、ここで零式が突撃を敢行。高速度の移動によって使徒を撹乱し、位相空間を中和したうえ、装備されていたプログレッシブ・ナイフの内一本を投擲。
同装備は使徒へ命中、ダメージを与えた。
が、使徒は加粒子砲を発射。ダメージ、もしくは直前の発射から時間があまり経っていなかった事が原因か威力はこれまでの攻撃に劣っていたが、零式搭乗者が発生させた残留A.T.フィールドによる防御では強度が不足し、加粒子砲は零式の胸部から腹部に拡散し着弾。
疲労等が重なったか、零式搭乗者は意識を一時的に喪失。
使徒に接近を開始していた零号機が刺さっていた零式のプログレッシブ・ナイフを利用し、使徒は殲滅された。

零号機搭乗者は検査を完了、帰宅している。
零式搭乗者は治療を完了、執務の後帰宅している。
また、初号機搭乗者も治療を完了、帰宅している。



 

X-Evangelion
=闇に消えるセカイ=

第七話 人の造りしもの
- It was Alone -



 

「…ただい、まー」
「…ただいま」
「あ、おかえり!」
「コウにぃぃ!」
コンフォートに着いた僕、そしてレイを迎えたのは、案の定、シンジの声とサキの飛び付きだった。
サキを軽く撫でてから上がる。「えへへー」とか言ってから走って…あ、コケた。
「ふぇ…」
「…」
「…サキ」
…レイ?
「ふぇっ、ふぇぇ…!」
「…」
って…レイがサキ撫でてるッ!?
…よし、まず落ち着け僕。
よく考えなくともこれは良い傾向だ。少なくとも僕にとっては。
零号機の戦力化は更に難航するだろうが仕方ない。まあなんとかなる。
うまくすればダミープラグ開発中止に…や、それは厳しいか?
「…コウ?」
うぁおぅ!?
しまったっ、集中しすぎたか…?
「…ん?なー…に?シンジ」
「…」
…どうしたんだ?
とりあえず、
「…くす…ありが、とー…」
「え…あ、うん」
顔を見合わせて、そして、少し、笑い合った。

:::::::::::::::

「…しんろ?」
「うん、明後日面談があるんだってさ」
「…」
あったな。
そういやあったな進路面談。どうでもいいから忘れてた。
ここに来る前なんか、僕はもう仕事してるし親は忙しくて気にしてらんないしで…三者進路面談、まともにやったっけ?
いやいや、とりあえず今回はやるんだから。
書類上の保護者は…ミサトさんかリツコさんかな?分からんけど。
「…誰、来るの?」
「僕にはミサトさん。保護者ってことになってるんだって…」
「…知らないわ」
「…僕のは…?…誰、だろ…?」
…と、その時。
ちゃらららちゃらららーっ、ちゃっちゃっちゃーらっちゃっちゃっちゃっちゃっちゃーっ…
サウンドトラックの「NERV」?
スケジュール関連のメールか!?
PDAを取り出す。
メーラーを起動する。
件名…「三者進路面談・及びその後について」。
まんまやんけ。

     From:[葛城 ミサト]Misato.Katsuragi@UN-NERV.TM.Mission.1.com
         To:[渚 コウ]Kou.Nagisa@UN-NERV.TM.Mission.1.EVA-Squadron.com
  Subject:三者進路面談・及びその後について
 Message:予定を伝えるわ。
              コウ君、レイ、シンジ君の三者進路面談には私が行きます。
              というわけで、何を言うか考えとくように伝えてね。
              あと、その後で、新規に編成されたネルフ直属の支援戦闘飛行隊との顔合わせがあるから、コウ君は私と本部に。
              リツコ曰く他の二人には訓練があるそうだから、レイとシンジ君もそうなるかしら。それも伝えて。
              じゃね。
           
              追伸
           
              「使徒迎撃用人型兵器・"ジェットアローン"」とか銘打って、日本重化学工業共同体がロボットを開発したらしいわ。
              完成披露会に呼ばれているんだけど、そのことについてもリツコからなんか連絡があるらしいから、情報を受け逃さないように気をつけてね。
    Attach:FROM-NERV.MAGI (37.9Kb)
              TYPE-SCEDULE.MAGI (0.1Kb)

…なんだこりゃ。
「…レイ」
「…何?」
「…面談、ミサトさん…だって」
「…分かったわ、コウ君」
それから、なんだ、この「ネルフ直属の支援戦闘飛行隊」ってぇのは…
まさか、ミサトさんマジで司令に直談判したのかよ!?
ひぇ〜、こりゃまたとんでもない…
「…二人…とも、スケジュール…とどいた」
「え?」
「…」
音声合成プログラム、"ヴォイス"起動。でもなんかなぁ、この名前安直過ぎるよなぁ…
ま、いっか。
<<三者進路面談後、綾波三尉、ナラビニ碇三尉ハ訓練ノ為、本部ヘ移動。ツイテハ後ノ追加指示ヲ待ツヨウニ>>

:::::::::::::::

で、三者進路面談。
「次、渚君」
「…はーい」
ああ、待つの長かった…なんか知らんけど番号順なんだよな。
苗字あ行の二人と違って僕はな行。正直別の日にしてもらいたかった。
「…失礼…します」
「失礼します」
「…渚君はここへ。葛城さん…は、三回目ですから問題ないですね」
はっきりいって昼行灯な根府川先生だが、流石に今日は存在感がある。
…あんまり変わらない気もするが。
「…渚君、君はこの先、どう生きたいと思うかね?」
「…回答、致し…かねます」
「ふむ?」
「コウ君?」
最初から僕の、独壇場。
そうでなければ意味が無い。
だけど、根府川先生は意外と食えない…
亀の甲より年の功、よく言ったものだ。
「…まだ…分かりません、から」
「ふむぅ…しかし、とりあえずはこの成績なら大方、どの高校にでもいける。受験のことを考える時間を将来を考える時間に回せば…」
「…高校…最悪、必要、ありません」
言い切る。
「なんと!」
「コウ君!?」
してやったり。
何も言わせない。
これが、僕の作戦だ。
先を見据えた話だ。
…僕は今、問題を先送りにしている。
帰るか、否か。
帰るなら、サード・インパクトに乗じれば何とかなるかもしれない。
しかし、帰らないなら?
あるいは、帰れないなら?
嫌なのだ。考える事すら。
ましてや一介の中学教師にどうこう言われるのは。
だから、こちらから仕掛ける。
「…就職、も…考え…て、います」
「ちょ、ちょっとコウ君!?」
「…うるさい」
雲龍級航空母艦「葛城」、撃沈。
うるさい奴は消えた。
目標、前方60〜75cm。
主砲、特殊強装弾。
各ランチャーは着弾タイミングをR-O56で同調、レーザー誘導よし。
てぇっ!
「…もう、あては…あります、から」
「ほう?」
「…」
ミサトさんいじけてる。
実質的に、完全に一対一だ。
「…」
「…」
「…」
沈黙が続く。
空気が異様だ。
だけど引けない。引かない。引くものか。たとえ使徒が襲来しても、今この瞬間は引くものか。
だってこれは、僕自身の楽しみの為でもあるのだから。
この為に、わざわざ中二の授業をもう一度受けてやっていたのだから。
「…わかったよ、渚君」
「…ご理解…感謝、します」
「うむ。但し、進学についても再考することじゃな」
「分かりました」
引いたか。
所期の目標は達した、撤退する。
「…ミサトさん…?」
「うう…」
「…」
とりあえず引きずって行った。
そして、言った。
「…資金、えびちゅ…10本、分」
「…」
「…20」
「乗った」

 

「あんな目を持つ少年が、この日本にまだいるか…」
やはり日本も捨てた物ではないな、と、老教師は呟いた。

:::::::::::::::

総司令執務室。
そこには、三人の人影があった。
「香川 シンイチ大尉、ただいま着任いたしました」
「ご苦労」
「今後はネルフの直属支援戦闘飛行隊長として頑張ってくれ。大尉という階級はこちらには無いが、それに相当する一尉待遇となる。構わないかね?」
彼は、香川 シンイチ。
国連空軍第7航空師団 第13戦闘飛行隊・新横須賀基地分隊、通称「荒くれもの収容所」所属の大尉。
F-14Dを駆って数々の敵機を撃墜し、過去、"国連空軍の誇る中東地区のエース部隊"こと第1航空師団 第101戦闘飛行隊に所属していたこともある。
F-14"SUPER TOMCAT"。高額だがそれ故になかなか高性能な機体。そしてそのD型、対地攻撃能力をも持たせた機体だ。
彼はこの機体を使った。
本来この機体は、日本にない。しかしセカンド・インパクトの混乱は、彼に、彼の憧れであったこの機体を与えた。
そして、彼はエースになった。エース部隊にも配属された程の腕だ。
「はい」
「では、顔合わせの会場へ向かってくれたまえ」
「了解っ」
そう、彼が新たなネルフの剣、航空隊の隊長だ。

:::::::::::::::

総司令執務室。
そこには、三人の人影があった。
「大垣 ツバサ中尉、ただいま着任いたしました」
「ご苦労」
「今後はネルフの直属支援戦闘飛行隊副長として頑張ってくれ。中尉という階級はこちらには無いが、それに相当する二尉待遇となる。構わないかね?」
彼は、大垣 ツバサ。
国連空軍第7航空師団 第13戦闘飛行隊・新横須賀基地分隊、通称「荒くれもの収容所」所属の中尉。
海外派遣時に数々の敵機を撃墜し、過去、"在日国連空軍一のベテラン部隊"こと第8航空師団 第21航空隊に所属していたこともある。
「はい」
「では、顔合わせの会場へ向かってくれたまえ」
「りょーかいっ」
そう、彼が新たなネルフの剣、航空隊の副長だ。

:::::::::::::::

総司令執務室。
そこには、三人の人影があった。
「野津 ユウタ大尉、ただいま着任いたしました」
「ご苦労」
「今後はネルフの直属支援戦闘飛行隊員として頑張ってくれ。大尉という階級はこちらには無いが、それに相当する一尉待遇となる。構わないかね?」
彼は、野津 ユウタ。
国連海軍太平洋艦隊所属空母 "Over The Rainvow"飛行団、通称「洋上の荒くれ収容所」所属の大尉。
海外派遣時に数々の敵機を撃墜し、国連海軍有数のエースとも呼ばれている。
とても豊富な実戦経験を持ち、勲章すらも持っている。
「はい」
「では、顔合わせの会場へ向かってくれたまえ」
「りょーかーい」
そう、彼も新たなネルフの剣、航空隊の一人だ。

:::::::::::::::

総司令執務室。
そこには、三人の人影があった。
「佐々木 タツヒコ少尉、ただいま着任いたしました」
「ご苦労」
「今後はネルフの直属支援戦闘飛行隊員として頑張ってくれ。少尉という階級はこちらには無いが、それに相当する三尉待遇となる。構わないかね?」
彼は、佐々木 タツヒコ。
国連海軍太平洋艦隊所属空母 "Over The Rainvow"飛行団、通称「洋上の荒くれ収容所」所属の少尉。
海外派遣時に数々の敵機を撃墜し、国連海軍有数のエースと呼ばれる寸前までとも言える。
とても豊富な実戦経験を持ち、勲章すらも持っている。
「はい」
「では、顔合わせの会場へ向かってくれたまえ」
「了解」
そう、彼も新たなネルフの剣、航空隊の一人だ。

:::::::::::::::

総司令執務室。
そこには、三人の人影があった。
「渡辺 カケル三尉、ただいま着任いたしました!」
「ご苦労」
「今後はネルフの直属支援戦闘飛行隊員として頑張ってくれ」
彼は、渡辺 カケル。
戦略自衛隊第2支援攻撃飛行団 第66夜間戦闘攻撃飛行隊所属の三尉。
対地戦で多数の星を数え、闇の中でも目標を空から寸分の狂い無く狙撃、破壊してみせる。
「は!」
「では、顔合わせの会場へ向かってくれたまえ」
「了解しました!」
そう、彼も新たなネルフの剣、航空隊の一人だ。

:::::::::::::::

総司令執務室。
そこには、三人の人影があった。
「す、杉山 ココロ特務准尉、ただいま着任いたしましたっ!」
「ご苦労」
「今後はネルフの直属支援戦闘飛行隊員として頑張ってくれ。特務准尉という階級はこちらには無いが、それに相当する三尉待遇となる。構わないかね?」
彼は、杉山 ココロ。
国連空軍第7航空師団 第13戦闘飛行隊・厚木基地本隊所属、通称「ベテランの戦場」の特務准尉。
「国連空軍の秘蔵っ子」と呼ばれ、訓練では誰よりも高いポテンシャルを示した。
実戦経験こそ薄いが、実力は折り紙付きと言えよう。
「は、はい!」
「では、顔合わせの会場へ向かってくれたまえ」
「り、了解しましたっ!」
そう、彼も新たなネルフの剣、航空隊の一人だ。

:::::::::::::::

「…」
「…」
「…」
「…」
「…」
「…」
航空隊の人々が固まっている。
何さ、この異様な雰囲気。
「…なっ、ちょ」
「ちょっと待てよ、なんだってお前らが此処に!?」
「こっちの台詞だ!」
「先輩達勢揃いぃ!?」
「問題でもあるのか?」
「とりあえず落ち着きましょうよ皆さん」
「落ち着けるかっ!」
…何、これ。
今の静けさは?異様な雰囲気は?
単純に知り合いが揃ってたから驚いて固まってパニクってるって事!?
…ノリの良い事で。
「…」

:::::::::::::::

それは、旧東京再開発臨海部の一角にあった。
旧東京再開発臨海部。
セカンド・インパクトとN2テロで水没した"第28放置區域"───旧東京の一部を埋め立て、捻出した土地である。
ネルフ所有の(しかも買ったばっかの)移動/連絡用VTOLは、そこ───国立第3試験場のヘリ/VTOLポートに降り立った。
そして───ガードマンの奇妙な視線に迎えられた。
「ネルフの者です。"ジェットアローン"の完成披露式典はこちらで?」
「え、ええ…彼も、ですか?」
「勿論。優秀な我が技術部員ですわ」
なんと言うか、だ。
なんでJAのお披露目会場なんかにいるの、と言うわけではないが、やっぱり場違いだったんだろうかと思う。
…一応ネルフの式典用制服で、バッチやら襟章なんやらかんやら全部規定通りに着けてきたんだけど…スーツのがよかったかな?安モンでも。
とりあえずガードマンに会釈。
混乱しながらも会釈を返してくれた。
中へ入る。
「うっひゃ〜、すっごい人数ねぇ」
「それほどこの兵器が重要視されている、と言うことなのかしらね…」
「…馬鹿?」
「無理も無いわ、政府なんてそんなものよ」
うわ、赤木さん痛烈だね。
ネルフのテーブルはやっぱり真ん中にあった。
厚紙を三角形に折って立てたあれ。
[ネルフ御一行様]…なんだかなぁ、中央にビールらしき瓶4本しかないのに。
しかもうるさい…
「…はぁ」
「さっさと始めて欲しいわね…」
「…うぅ」
ミサトさんが呑まない。
…リツコさん、睨み聞かせてたのね。

:::::::::::::::

「この"ジェットアローン"は───」
聞き流しながら思う。
…はっきり言って、始まってもまったくもって変わらない。
むしろ悪い。
正直疲れた。
ICレコーダーは動作順調だし、講演モドキの音声入力による文章化も問題なし。経験少ないからちょっと変換ミスがあるが、まあ文法/文法再チェックの併用で強引に乗り切ってるしいいか。今日は。
今度マヤさんと相談しよう。ああでもあの人忙しいし時間いつ取れるかな?
しっかしまあ何とかできんもんかな?
iPodに前から使ってた音声解析プログラムの変換経験データ残ってないか?どうだったっけな?
…ってそれ以前にフォーマットが違うし無理か。あーもったいない。
変換するにもまず構造解析しなきゃだしなぁ、まったく。
…ていうか考えてみたら変換自体はIMEとかATOKとかでやってんだよな、こーゆーの。多分。前はIMEかなんかの付属ツールで音声入力してた気もするし。
それじゃ無理だ。変換ツールの変換経験が要る。実に面倒だ。仕方ない、変換トレーニングしてなんとかするか。
そういや大分前実験用に組んだDLLどうしたっけ?あー、バグだらけでウザかったから消したんだっけ。
はぁ。まったく、書類上技術局付きオブザーバだからってこんなんに出てもいいんかね?後々面倒でないの?
しっかしまあよくもこんなに面白くない講演が出来るな…
「───では、質疑応答に移らせて頂きたいと思います」
おー、やっとか。
手を挙げる。
…リツコさんとユニゾンした。まだイスラフェル戦じゃないし相手チルドレンじゃないし。
「…レディ、ファースト」
「ありがとう」
まあ、ねえ?
僕の付いて来た目的は時田いぢりだから。刺激的な事は楽しまなきゃ。
「これはこれは、ご高名な赤木 リツコ博士」
テーブルに備え付け(!!)のマイクを取るリツコさん。
「質問、いいかしら?」
「ええ、構いませんよ」
「内部に、動力機関を内蔵とありますが───」

:::::::::::::::

…。
航空母艦「赤城」撤退。否、戦略的転進。
「他に、いらっしゃいますか?」
「…出番よ、コウ君…」
赤木博士の表情が消えてる。
…拙いな、完全にキテる。
「…りょーかい、はかせ」
再度手を挙げる。
「…おや?そこの…?どうぞ、坊や」
…頭に来た。
こんな奴に無理して喋る必要性は微塵もない。
と、いうわけで、"ヴォイス"起動!
<<ネルフ技術局、オブザーバの渚です。上手く話せないものでして、合成音声で失礼します。質問させていただいても構いませんか?>>
「っ…?え、ええ、構いませんよ」
さあ、戦闘開始だ。

:::::::::::::::

<<では早速。…先程、内部動力機関についての言及が赤木博士よりありましたが、実際には具体的にどの程度の対ショック性能を備えているのでしょうか?躓いて転んだだけで損傷するなら論外、そうでなくとも敵性体の攻撃一発で爆発してしまったらむしろ危険です>>
「えー、動力機関は"ジェットアローン"内部に緩衝材と共に固定されており、ほぼいかなる衝撃にも耐えうる対ショック性能を実現しております」
だからどんなだよ。人の話聞いてねえな。
<<成程…では次。この"ジェットアローン"用の武装は開発されているのですか?>>
「…いえ、武装自体は開発が遅れております。ですが、専用武装がなくとも格闘戦能力自体が高いので…」
<<A.T.フィールドの突破すら出来ないのに?敵性体の持つ絶対領域、A.T.フィールドを突破しない限り敵性体にダメージは入りません。今までにネルフが撃破・殲滅した三対の内最弱の一体でも、国連軍保有の戦略兵器、N2地雷で30分足止めするのが限度でした。パンチでそんなバリア
を破ると?笑わせないでください>>
「ッ…!先程も申し上げた通り、解析は時間の問題です!」
よしよし、キレてるキレてる。
<<では、『ネルフが戦っている敵性体迎撃用』人型兵器完成式典とは大嘘ですね。先程も言った通り、A.T.フィールドを突破できない限りダメージはありません。"ジェットアローン"よりもはるかに高い性能を誇るネルフの主力兵器ですら、A.T.フィールドの無効化無しには素手どころ
か武器を使用してもダメージを与えられなかったのに>>
「…ッ、"ジェットアローン"になら可能だ。そんな"心"が作る壁なんて突破できる!」
よしきた!
<<では、お試しになりますか?>>
「は?」
「ちょっと、コウ君!?」
赤木さんが止める。んなもん知るか。そんな少年を確保していると知ればネルフの権威上がるでしょうが。僕の襲撃も増えるかもしんないけど。
<<僕が技術局付きオブザーバである理由の一つ、使徒のそれよりも遥かに弱くまた限定的ですが、貴方の馬鹿にするA.T.フィールドが展開可能>>
「…!?」
<<こんな少年如きのフィールド、破れないようでは完全に役立たずですね?>>
「…ッ、面白い、やってやろうじゃないか」
乗った。よし。
「…」
あ、ついでにもう一撃。
<<ああ、それから、もう一つ構いませんか?>>
「…ええ」
<<遠隔操作と仰いましたが、無線なんですよね?電波ですか、光ですか、それともまた別のものですか?>>
「電波と光の複合です。それが何か?」
<<いえ、A.T.フィールドが持つ副次的効果として電波の撹乱と言うのが有るもので。展開出力によっては光無線通信も危ういですよ?>>

:::::::::::::::

ロッカールーム。
制服汚れるといけないから、という理由で着替える。このために持ってきたんだから。
よし、終わり。
「…コウ君」
「…なん…です?リツコ、さん」
出た所でリツコさんに遭遇。
「…よく言ってくれたわ。確かにあそこでああ言って挑発、実証して見せればネルフの権威は上がるし"ジェットアローン"計画も潰れるだろうし…でも大丈夫?」
ピルケースを見せる。L.E.S.は後10錠。問題なし。
「…確かに問題ないわね。判ったわ、例の作戦、発動は遅らせるわね」
例の作戦。
"ジェットアローン"暴走作戦のことである。
「コウ君っ!」
あ、ミサトさん来た。
「頼むわよ、もうあいつぎゃっふんと言わせてやって!」
「あら、ぎゃふんじゃなくてぎゃっふんなの?」
「ただのぎゃふんで足りるもんですか!」
いっそ壊しちゃって、とまで言う葛城さん。
…いいのかなぁ。

:::::::::::::::

屋外。起動実験。
ついでにA.T.フィールド突破実験。
L.E.S.を飲み込む。たっぷり7錠。
『"ジェットアローン"、起動します』
『運転開始。前進微速』
『前進微速。右脚、前へ───』
さあ、来た。
デカイだけのオモチャ。重機にはいいかもだけど。
『"ジェットアローン"、指定位置に到着』
『突破実験、開始!』
うむ、見た感じは迫力あるな。エヴァサイズだし。
「…了解…カウント、要請」
『了解、カウント開始します。5、4、───』
『構え!』
"ジェットアローン"が構える。
『3───』
僕も構える。
『2───』
大きく振りかぶって───
『1───』
溜めて───
『Now!』
来た!
「ッ!!」
全力展開!
赤い閃光が走り、壁になって"ジェットアローン"の全力パンチを受け止める。
『な…ッ!?』
『全開だ!出力上げろォ!』
『原子炉、出力最大!』
「…ッ」
流石に結構つらい。
でも、今の体調ならこの位…!
「…うぉぉッ!」
押し返す。はじく。押さえつける。
勝った。
「…残念…もー、面白く、ない…」
『そ、そんな…』
フィールド解除。
"ジェットアローン"が立ち上がって…てぇ!?
踏み潰してきたぁ!?
か、回避!
『な!?』
「っ…停止、要請」
『時田主任!制御信号、受け付けません!!』
『なんだとっ!?』
そらきた暴走。
しかしまぁ、ねぇ…?
「…疾れ」
L,E,S,残りの全部飲んでA.T.カノン。弾が装甲に当たり拡散するイメージを与え、飛ばす。
進行ベクトルを強引に捻じ曲げる。とりあえずこれで踏まれない。…あ、トーチカの方向かせちった。まあいいや。
さすがに装甲をぶち破るのは骨が折れそうだ。第一、妙なところ壊して異常をきたしたらかえってマズイ。
「…」
トーチカへ走る。
全力ダッシュ。意外や意外、"ジェットアローン"って結構移動速い。追いつけそうもない。
トーチカ、踏まれる。ぐしゃ、ばこん。
…"ジェットアローン"の足跡がクッキリ。天井踏み抜いてんだもん。
「…」
「奇跡を待つより捨て身の努力よ!プログラムの消去パスワードを教えなさい!!」
ぐわしゃん。見ると、コンソールに片手斧が叩き込まれていた。完璧に壊れてんな、あれ。
「…『希望』」
「へ?」
「…パスワードは『希望』だ。済まない…!」
ふ、と不敵に笑ったミサトさんは、一言。
「本部に連絡、初号機をすぐ派遣させてっ!」

:::::::::::::::

あっという間に来た。
トーチカ内通信装備で指揮を取る。…僕が。
双眼鏡を近くの人からから借り、本部の方を見ると…お、来た来た。小型機が6、大型機が1。
通信が入る。
『Here is "FlÜgel" to "K".指示を』
…成程。確かに元荒くれ隊だわ。通信に日本語かよ。
<<Here is "K" to "FlÜgel ".空中待機ヲ。敵性機ヲ発見シタ場合ハ攻撃ヲ許可シマス>>
『Roger.あの変なのに攻撃は?』
<<Negative.核エンジンを搭載シテイル模様>>
『Roger.』
隊長機───"FlÜgel-One"こと香川大尉が指示を出し始める。
『"VAMPIER" to All-of-"FlÜgel" 空中待機、だそうだ』
『了解、"VAMPIER"』
『り、了解!』
『了解!』
『目標に攻撃は?』
『さっきの通信聞いてろよ"SYSTEM"。核積んでんだと』
『ええっ!?本当ですか、"VAMPIER"!?』
『らしい。核は持ってりゃ嬉しいただのコレクションじゃない…か』
『はぁ…冗談じゃないな』
…やっぱり航空隊らしくない。

:::::::::::::::

そんなこんなで"ジェットアローン"は止まり、騒ぎは無事に終わった。
違うのは…
「よお、"K"」
「…お疲れ、様…"VAMPIER"」
「ふっ、そういや今度トムの強化やるらしいけど…?」
「…レーザー、積む…とか」
「げ…凄まじいな…」
Shinichi"VAMPIER"Kagawa、香川 シンイチ大尉とタメ語使う程(!!)仲良くなったのだ。
…むしろ、気に入られたと言う表現の方が正しいかもしれない。
それから、もう一つ。
「あ、コウ君!"ジェットアローン"の運用プラン、管理部の3課に届けといてねん」
「…了解」
「…やっぱり大変なんだな、"K"。下の方の中間管理職って」
「…どーい」
関係改善、そして建設その他用重機として、"ジェットアローン"が購入されたこと。
そして、第3新東京市ににおける支援兵器の強化プランが司令に認められたことだろうか。

:::::::::::::::

僕の仕事は、徹底的に、いっそ完璧なまでに、圧倒的な速度で、膨れ上がる一方だ。
だけど、それなりに充実した日々。
そんな中で、ちょっとした「事件」が起こった。
「突然ですが、転入生を紹介します。入ってきなさい」
開く扉。揺れる茶髪。
「彼」は、黒板に名前を書いた。
[Mercy Lorentz]
入ってきたのは、
「マーシー・ローレンツです。よろしく!」
Mercy Lorentz[マーシー・ローレンツ]
僕の書いたX-Eva、第拾七話に登場し、また友人をモデルにしたオリジナル・キャラクター。

そして、四人目の適格者[フォース・チルドレン]