第一次作戦報告書

今回の使徒は、水中を高速度で移動する魚型の物であった。
特殊な能力はほとんど確認されず、主に攻撃は体当たり及び口と思わしき器官による噛み付きであった。が、それだけでも戦闘能力は相当な物と思われる。
A.T.フィールドによる防御力は国連軍太平洋艦隊の攻撃を無効化するなど高く、また体当たりの一撃で巡洋艦を撃沈するなど脅威的な存在となった。

上記使徒は太平洋に出没、Evangelion弐号機(以降弐号機と表記)を輸送中の太平洋艦隊を襲撃した。
太平洋艦隊は使徒に対し魚雷等の通常兵器で対抗を試みるも失敗。弐号機受け取りのため洋上の太平洋艦隊分遣艦群(以降エヴァ弐号機輸送艦隊と表記)へ出張していた葛城一尉、並びに渚三尉が対応した。
渚三尉はセカンド・チルドレンの発案に応じ弐号機に同乗、戦闘を展開した。
弐号機はB型装備で輸送中であったため海中戦闘は不利と判断、エヴァ弐号機輸送艦隊空母"Over the Rainbow"を足場に戦闘を試みた。又、葛城一尉は本部直属支援戦闘飛行隊"Flugel"隊の発進を要請した。
が、使徒が弐号機に体当たりを行った事により弐号機は海中へ転落、引き上げには時間が掛かると思われることから戦闘を続行。
そこで渚三尉が作戦を立案。内臓兵装プログレッシブ・ナイフは特性上水中で使用できないため弐号機が使徒のA.T.フィールドを中和、内臓兵装すでに発進していた空母"Over the Rainbow"搭載機と"Flugel"隊の全火力を以って使徒のコアを攻撃・破壊、殲滅するというものだった。
作戦は即実行。使徒は殲滅された。

結果として、国連軍太平洋艦隊に被害はあったものの、使徒の殲滅に成功。
当初の目的は達成した為に作戦は成功と判断されるものである。
課題としては対水中戦闘能力の確保が必要と判断される。

以上をもって、第一次作戦報告を終了する。

 

X-Evangelion
=闇に消えるセカイ=

第九話 瞬間、心、重ねて
- Rely on Me -

 

夢。

現。

そして───狭間。

ここは、どこ?

(狭間よ)

だれ?

(…わからないの?)

ああ、そうか。その波動は───

(そう、私は───)

ノルン。

───なぜ君は、ここに?

(今のあなたに必要だから)

───なぜ僕は、ここに?

(…おぼえていないの?)

わからない。

僕にはまだ、何も───

(…渚 コウ)

───?

(2001年5月18日生まれの14歳。ゼロ・チルドレン。第3新東京市立第壱中学校2年A組に来た転校生)

…何…?

(ネルフ本部 戦術作戦部作戦局1課 Evangelion小隊所属の三尉にして同隊隊長。又、特殊能力を買われ技術開発部技術局付きオブザーバを兼任)

…何…を…?

(あなたの情報)

…僕…の…?

(これは一部。表面的な一部だけ。でも、これだけあれば思い出せるはずよ)

(自分を───見失なわないで)

ふつり、と、

何かが切れた。

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(…目覚めなさい…渚 コウ)

「───…ぅ…っ…?」

ゆるり、とコウは両眼を開けた。
認識───白。
見回す。
認識訂正───病室。
「…コウ君?」
声。右方向───…
「…レ、イ?」
蒼銀の女神───そんな形容を思い出した。
───…違和感。
「…大丈夫?」
「…こ…こは?」
「本部附属病院」
───病院?
何故病院に…?
「…な、んで…びょういん、に?」
「…夢にうなされて倒れたから」
…は?
「…詳しい事は良く分からないわ」
「…そう、なんだ」
「…ええ」
こくん、と頷き、レイは一つ言った。
「…忘れた事は、無理に思い出そうとしないほうがいいそうよ」
驚く僕を尻目にレイは、「…後で伊吹博士が来るそうよ…じゃ」と、開いたドアの向こうに消えた。
───…ナゼ…?

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唐突にノック。
───誰だ?
「コウ君?伊吹です」
「…どー、ぞ」
ドアが開く。頭を巡らせた。
童顔な魔女の弟子がいた。
「気分はどう?」
「…へーき…です」
「何があったの?レイちゃんが言ってたわよ、夢にうなされて目覚めたと思ったら気絶したって」

「…」
わからない。
記憶が意味を成さないのだ。
在るのは暗い空白と、短絡(ショート)した感情の回路だけ。
「…わからない」
「え?」
「…多分、レイが…言ったので、合ってる」
「そう…まあ、過労の気が有るみたいだし、一旦ゆっくり休んで?体を壊したら元も子も無いわ」
「…」
ゆっくりと窓をみる。
ジオフロントの天井は採光ビルの光を受け、閉鎖空間に仄かな明るさを産み出していた。

「計画は順調のようだな」
「ああ…ゼロとて今はただの子供だ。問題無い」
「…これからもそうだといいのだが」

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「…?」
休め、と言ったマヤさんには悪いが、僕はさっさと病院を出て本部に居た。本当は学校なんか行ってないで書類捌いてたいのだ。暇だし、何より仕事多すぎ。
───何かを感じた。
遥か彼方で、何かが、こちらを認識したような───?
『冬月副司令の権限により、第一戦闘配備が発令されました。総員、第一戦闘配備───』
使徒か!?
今度のは?
ガギエルの、次───…
「…イスラフェル?」
イスラフェル。
或いはイスラーフィールとも呼ばれる音楽の天使で、全18使徒中唯一、イスラム教の天使だ(クルアーンには出て無いらしいが)。
コアを二つに分ける能力を持ち、それぞれが別の個体として活動出来る。元が一つだから再融合も簡単だし息ぴったり。更に2体が損傷を相互補完──つまり両方同時に同箇所を損傷しない限りすぐ直る──、1体だからA.T.フィールドの展開も問題なし。
───厄介極まりない。実に面倒だ。過労の気が出る程書類仕事してたほうが良いけど…そうも言ってられない。
ひとまず、更衣室へ走った。
まずは着替えだ。病院のパジャマじゃ、零式の性能は発揮し切れないだろうから。

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『…だから、今回は上陸してくる敵を水際で叩く!』
<<フリューゲル隊ガ先行シテ偵察、敵ノデータヲ前線指揮ヘ転送。我々エヴァ小隊ガ分析データヲ受け取リツツキャリアーデ目標ヘ接近、降下シテ目標ニ対シ奇襲攻撃ヲ敢行スル>>
『今回は第3の外での戦闘になるわ。指揮のため、私とミサト、日向君、青葉君、マヤが移動指揮車で同行。電源、及び零式用の冷却液については現地に補給車を、兵装には輸送用トレーラーを手配したわ。質問は?』
発進前ブリーフィング。
搭載してもらった簡易戦術指揮&音声合成システム"Tacvoice(タクヴォイス)"でブリーフィング。他の機体にも「ついでだから」と搭載され、仮想マッピングやら戦術情報表示やらの機能で活躍しそうな代物だ。
入力がキーボードじゃなくていいって言うのもありがたい。インダクション・レバーにボタンが増えたけど、そこはまあご愛敬だ。
『…コウ君』
レイ。
「ん…」
『…大丈夫なの?』
『私からも聞きたいわ。入院を拒否したそうじゃない』
うぁ、赤木さんまで。
…ごまかせない、かな?
「…ぅ」
『いっそ休んでれば?使徒なんてあたし一人でじゅーぶんよっ』
…む。
「…へーき…」
『…本当に大丈夫?コウ…』
「…エヴァ、だから」
L,C,L,に浸かっている限り、怪我の治癒も疲労の回復も早くなる。僕の場合。
エヴァに乗ってる方が、その意味では良いのだ。
『…じゃあ、いいわね?』
「…ん」
『勿論よ!』
『…大丈夫、です』
『フリューゲル隊、全機OKだ』
…いける、だろうか。
怪我、しないといいんだが。
『おっけー』
<<Evangelion小隊よりHQ、発進準備を要請>>
『了解。ミサト、私たちも行くわよ』
『モチ』

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『リニア・カタパルト、良し』
『進路及び上空クリア、オール・グリーン!』
『フリューゲル隊、発進よろし!』
垂直発進カタパルト。
殆ど90度に傾いた機体の中で、彼らは一呼吸おいた。
そして、
『"Flugel-1"・"VAMPIER"、出る!』
『"Flugel-2"・"SYSTEM"、発進!』
一気に2機が射出される。
元がエヴァ射出用のカタパルトだ。F-14の軽さでははっきり言ってオーバー・パワーだ。
しかし、出力を抑えれば問題ない。
カタパルトが戻る。
更に2機がリフトで移動され、カタパルトにベースごと接続される。
『"Flugel-3"・"WING"、出るぞ!』
『"Flugel-4"・"DRACO"、発進する!』
3・4番機が射出され、最後に5・6番機がカタパルトに乗る。
『"Flugel-5"・"COMET"、発進します!』
『"Flugel-6"・"HEART'S_EYE"、行きます!』
6体の機械鳥は、死をもたらす機械槍を携え空を翔ける。
何かを殺すために───或いは、誰かを護るために。

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<<エヴァ小隊、降下開始>>
『待ってました!』
『…行くわ』
『わ、わかった』
4体の巨人が降りる。
着地。
降下成功。
<<ケーブル接続>>
がちゃこん。
『いつでもいけるわよっ』
『…完了』
『こっちも大丈夫だよ!』
よし。
<<葛城サン>>
『戦闘開始!』
弐号機がソニック・グレイブを取り上げ、
『あたしが一番よ、援護しなさい!』
『え、援護!?』
…あぅ。
『碇君、ライフル』
『あ、うん!』
こちらもライフルを取る。
走りこんでA.T.フィールド中和、単射6連。
後の二人は…?
『…目標をセンターに…スイッチッ!』
『目標を照準内に捕捉…発射』
劣化ウラン弾を後方からばら撒いている。
残弾に注意しろ、とだけ送って更に前進…しようと思ったけど、
『っでぇぇぇぇぇいっ!』
ずばしゃ、ぐちゅ。
弐号機が叩き込んだ長刀───ソニック・グレイブが使徒を唐竹の如く一息に割り裂いた。
『…お見事…』
『どう?戦いは常に無駄無く美しく、よ!』
構え。
目標をセンターに…ファイア!
『ちょっ、何すんのよゼロッ!?』
『アスカ、前、前!』
『え?ちょっと何で復活してんのよぉ!?』
『ぬぅわんてインチキッ!!』
…パレット・ライフル、全開連射(フル・オート)
だが怯まない。当たっても即修復。
やっぱり───ユニゾンしか、無い?
<<進言、目標ノ行動能力ヲ失ナワセ一時撤退>>
『怖じ気付いてんじゃないわよ!』
『アスカ!』
「…っ」
再度アスカが突っ込む。
『こぉんのぉぉぉッ!』
仕方が無い。
突っ込みながらライフル全弾発射して破棄、弐号機の後背を襲う一体にニードルからプログ・ナイフ。
<<下ガレ>>
『なんでよっ!?』
『下がって、アスカ!』
『ミサト!?』
『体勢を立て直すわ。一旦後退───』
『きゃあっ!?』
ぐしゃ、と弐号機が吹っ飛ぶ。よく見ればケーブルも切られていた。
水田に突っ込む。
『弐号機、活動停止!』
勘弁してくれ。
軽く後方に跳んだ。
<<時間ヲ稼グ。シンジ、弐号機回収。レイ、撤収支援>>
『コウ君?』
『コウは?』
答える代わりに飛び込んだ。
『…了解』
レイが重機的な作業を始める。
シンジが弐号機を頑張って引っこ抜く。いや、引っこ抜こうとする。
『"K"、今援護する。"WING"、Attack-Fox!』
『"DRACO"、Attack-Fox!』
2体にミサイルが突き刺さる。よし、両方の右腕を吹っ飛ばした。
フリューゲル隊にビームで攻撃しだす2体。
右腕にグレイブを拾い上げ、
「…のっ!」
1体をで叩き斬る。
再生。駄目だ、埒が明かない。
<<フリューゲル隊、全力攻撃要請>>
『"K"、任せろ!各機、全力攻撃行くぞ!』
『うおっしゃ!"SYSTEM"、Maximum-Fox!』
『"COMET"、Maximum-Fox!』
『行きます。"HEART'S_EYE"、Maximum-Fox!』
『"VAMPIER"、Maximum-Fox!』
『"DRACO"、Maximum-Fox!』
『"WING"、Maximum-Fox!』
航空隊の全力攻撃が一気に使徒を吹き飛ばす。
<<今、撤収。葛城サン、N2デ足止め要請ヲ>>
『青葉君ッ!』
『了解!』

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「───結果として、目標甲・乙の構成物質中、推定28%の消却に成功。修復・再侵攻までは、修復速度からの逆算ですが、再進行までは1週間の猶予があります」
「足止め出来ただけ良かった、と言うべきかしら…」
原作通り、ネルフは対策を練るため一時撤退。日本政府に指揮権を委譲、同時にN2兵器による足止めを要請した。
日本政府は要請を受諾。戦略自衛隊を動員、N2航空爆雷による戦略級火力戦術攻撃(・・・・・・・・・)で目標を攻撃。
結果、こう相成ったと言うわけだ。
「本件に対するE計画担当責任者のコメント」
「…損害が出なかったのは幸いね」
同意。全力で同意。
「…しっかしまあ、面倒っちゃ面倒よねぇ…」
「…損傷…相互、補完?…両方…同時、じゃないと…」
「コウ君もそう思うかい?やっぱりそうとしか見えないよな」
ええ。そうでしょうよ加持一尉。
「その点には同意するわ。航空隊の攻撃、同時に目標の右腕を吹き飛ばしてからすぐには再生しなかった」
「あの時点で倒せたような気もするのよねぇ…」
「…無茶。同時、攻撃は…簡単、じゃない」
結局、会議はぐだぐだで終わった。
…はぁ。

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「コウく〜ん」
「…どー、ぞ」
小隊長執務室。
肉球マークの特製赤木ブレンド(アイス用ロースト)をちみちみ飲みながら書類の山を片付けていると来客。葛城さんだ。
すんません、正直邪魔です。ごめんなさい。
「はい、これ…」
「…?」
「検討よろしくぅ。結果メールして…」
…結構お疲れの模様。
渡された資料を見る。
【作戦計画案】
1.目標は2体で相互に損傷を補完し、より高速で修復する為、例えコアを破壊しても同時破壊で無い限り修復には1秒も掛からない。
2.目標のA.T.フィールドは他の使徒同様強力であり、他の使徒同様エヴァ以外での殲滅は困難と判断される。
よって───
とんとん、ぼん。
半ば以上ふざけて作った【決定稿】の判を捺し、PCのメーラーを立ち上げた。
  Account:[渚 コウ]Kou.Nagisa@UN-NERV.TM.Mission.1.EVA-Squadron.com
       To:[葛城 ミサト]Misato.Katsuragi@UN-NERV.TM.Mission.1.com
  Subject:作戦計画案について
  Message:忙しいので中身だけを。
          作戦はこれで問題ないと思われます。基本はこのユニゾンで、細かい詰めは後の会議に回しましょう
   Attach:NONE
送信。

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マンション"コンフォート17"、805号室───つまりは、僕んち。
「…ただい、まー」
「お帰りコウにぃっ!」
「…お帰りなさい」
二人が出迎えてくれた。
…あれ?二人?
「…ん、シンジ…は?」
「…葛城一尉の家」
「訓練だってー」
大変なんだねー、とはサキの弁。
まったくだ。
とりあえず入った。ああ眠い。軽く何か食べて寝ようか。
「手伝うわ」
「サキもー!」
ありがたいことで。

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攻撃まで7日。
シンジ・アスカ共同生活開始。
特製ユニゾン訓練システムによる判定───ユニゾン率、8.4%。
「なんでこんなことしなきゃなんないのよッ!?」
「作戦だから」
「誰が決めたのッ!?」
「私とコウ君」
「…ッ、ミーサートーにーゼーロー!」
「ちょっ、アスカ、抑えて抑えて!」
攻撃まで6日。
渚 コウ訪問。
特製ユニゾン訓練システムによる判定───ユニゾン率、12.2%。
「ゼーロー!」
「…なに?」
「あんたなんだってこんな効率悪い作戦了承したのよ!?」
「…他に…無い」
「…ッ」
「…シンジ」
「何?コウ…」
「…この、機会…有効に、使って」
「え…?」
攻撃まで5日。
渚 コウ、綾波 レイ、鈴原 トウジ、相田 ケンスケ、洞木 ヒカリ訪問。
特製ユニゾン訓練システムによる判定───ユニゾン率、42.9%。
「…!」
「こりゃ、ユニゾンは初号機と零号機の方が良いかもねぇ…」
「…ッ」
「あ、アスカ!?」
「碇君、追いかけてッ!」
「あ、え、?」
「早くッ!」
そして、攻撃前日。
特製ユニゾン訓練システムによる判定───ユニゾン率、99.5%。
「じゃあ、今夜は二人っきりね」
「え…?」

:::::::::::::::

「エヴァ両機は、発進と同時にA.T.フィールドを展開。目標のフィールドを中和してから攻撃するのを忘れないで」
『シンジ。最初からフル稼働、最大戦速で行くわよ!良いわね!?』
『分かってるよ。62秒でケリをつける!』
「目標、戦闘開始点に到達!」
「外電源、パージ。発進!」
2機のエヴァが射出される。
最終拘束を解除した状態で出た2機は射出の勢いそのままに中へ舞い上がり、トンボを切って使徒を2体に分断する。
完璧なユニゾン。
使徒も応戦する。しかし悲しいかな、ユニゾン戦闘が可能なエヴァ2体と戦うには───彼らは少々弱かった。
蹴り上げ。踵落とし。ジャブ。完璧だ。鏡写しのように動く。
そして、使徒が再び1つになった。
2機が舞い上がる。蹴りの構え。ツープラトンキック。
『『いっけえぇーッッ!』』
瞬間、心は重なった。
使徒は山を駆け上って山頂で爆発し、消滅した。
「パターン青、消滅。使徒、殲滅を確認しました!」

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午後10時。久々にゆっくり寝られるような時間だ。
だが、どうもそうは、上手く行きそうにない…
「…コウ君?」
「…ちょっ、と…出て、くる」
ガスガン──無論、いつもの"TACTICAL MASTER + : K.Nagisa Custom"だ──を装備し、ピルケースも持って、服も多少はマシになるだろうから黒いやつにして、鍵持って、と。
「…行って、来ます」
「…いってらっしゃい」
出る。
がちゃり。
…さて。
目的地…「第3新東京市立展望公園」。

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銃火が閃いた。
しかしそこに僕はいない。
闇から斬りかかって来る。
掠めた。反撃、A.T.バレット3発。
排除。
再び殺気。攻撃半瞬前に流れる微かな殺気、それを頼りに火線をかわした。
かわし切れない。掠めた。反撃、A.T.バレット3発。
もう何回繰り返したろう。
すでに全身は掠り傷と酸欠で吐き気を訴える。まだ、まだだ。
敵頭部を打ち砕き、銃を奪って乱射。いける。うれしいことに手榴弾まであるじゃないか。
凹凸だらけの卵型───恐らく破砕手榴弾。2個ある。
ピンを抜く。作動。投げる。我武者羅に走った。
爆風は思ったより広範囲を焼き、傷ついた僕は───離れ切れなかった。
叩きつけられる。
体力は限界寸前だった。
とりあえず携帯で"7##6##7##"(緊急事態) をコールし───意識は切れた。